ある日、ジェットツアー会社のオーナーからスタンレーからは撤退する、これからはヌー島のクエンドビーチでやる事にすると宣言された。後から分かった事だが所場代の支払いの件でトラブったらしい。
移動先のクエンドビーチはとても素晴らしい場所である。当時は今のような水上バンガローなどもなく、こじんまりした入り江に面してぽつんぽつんとバンガローが点在する、知る人ぞ知る穴場だった。当然お客様も大喜びである。
問題はジェットの置き場である。クエンドビーチのオーナーからはバンガロー前の芝生に何でも置いていいと言われたものの、海から小石混じりのビーチをはさんだ土手の上が芝生である。
ジェットは重い。トレーラーみたいなものはない。つまり、私が押すか引くかして移動するのである。
まずジェットを引きずってもいいようにビーチの石を拾う。お客さんが入っていない時は朝から晩まで石を拾う。拾っても拾っても石は無くならない。なぜ?
お客さんが入った時は朝のうちに芝生からジェットを下ろしておいてからお客様をお迎えにいく。楽しく遊んで頂いてからお客様をお送りしてゲレンデに帰って片付けを始める。・・・引き潮だったりする。・・・海が遠い。普段は5メートルぐらいしかないビーチが10メートル以上になっている。繰り返すがジェットは重い。必死になって押して、引いて、揺すって、押して、やっとの思いで芝生手前の土手までたどり着いた所で日が暮れたりする。
。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。なにもかもいやになって夕暮れのビーチに一人ぽつんとたたずんでいたりする。
肉体的にも精神的にも何もかんもぼろぼろである。
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